米ドルにペッグされた仮想通貨Tether(テザー:USDT)とは?Tether(テザー)の仕組みやメリット・デメリットから価格チャート、将来性を含めて価格が変わらない仮想通貨Tether(テザー)をわかりやすく簡単に解説いたします。
Tether(USDT)のリアルタイム相場価格と時価総額ランキング
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価格が変動しない?不思議な仮想通貨Tether(テザー)
仮想通貨は現在多くの人の投資対象となっており価値の保証がされていないため、価格の上下が非常に激しいという側面があります。
仮想通貨に限らず、円やドルといった既存の通貨でも毎日のように多少の値上がり値下がりをするものですが、そんな中ほぼ全く価格が変わらない仮想通貨があります。
それがTether(テザー)です。
今回は、そんな価格が変動しない不思議な仮想通貨Tether(テザー)の秘密やメリット・デメリットを簡単に解説していこうと思います。
Tether(テザー)の基本知識
Tether(テザー)はTether Limited(テザー・リミテッド)という企業から発行されている仮想通貨です。
2015年の5月に発行され、通貨の時価総額ランキングでは10位台に位置しています。
そんなTether(テザー)をひとことで言うならば、米ドルのPeg(ペッグ)通貨です。
ペッグ通貨とは?
ペッグ(Peg)とは日本語で釘を打つ、と言う意味の英単語で、そこから転じて固定するという意味があります。
つまりペッグ通貨とは、ある通貨との価格(為替レート)が固定されて変動しない通貨ということになります。
為替レートが一定の通貨を固定相場制ペッグ制と言い、多くの場合はアメリカドルに対して価格が固定されているのでドルペッグ制と言います。
ドルペッグ制を取っている既存のペッグ通貨は例えば、香港ドルやエルサルバドル・コロン、パナマ・バルボアなどが挙げられます。
一方で日本円のように米ドルに対して価格が固定されておらず、価格が変動する通貨は変動相場制と呼ばれます。
もし経済・政治状態が不安定な国が自国の通貨を変動制にしてしまうと、小さな事件で通貨の価格が大きく変動してしまう恐れがあります。
つまり国の通貨の価格が突然インフレになってしまったりデフレになってしまう可能性があるということです。
そうなると国が大きな混乱状態になってしまうため、経済状態が不安定な国は自国の通貨をドルペッグ制にすることで通貨の安定性を高めているのです。
Tether(テザー)はドルペッグ制の仮想通貨!
ドルペッグ通貨について理解できれば、Tether(テザー)について理解するのは簡単です!
香港ドルやエルサルバドル・コロンのような既存の通貨に対して、Tether(テザー)はドルペッグ制の仮想通貨となります。
Tether(テザー)の単位はUSDT(アメリカドル+TetherのT)で表され、1USDTは常に1USDになります。
価格は変動しないので、Tether(テザー)の量が増えてもドルとの価格は変わりません。
10USDTでも10ドルになりますし、100USDTでも100ドル、10,000USDTでも10,000ドルとなります。
Tether(テザー)の仕組みは?
Tether(テザー)について理解していただいたところで、もう少し詳しくTetherの仕組みについて見ていきましょう。
まずTetherを得るには、USDTを発行しているテザー・リミテッドの銀行口座にドルを入金します。
そうすると同額のUSDTが発行され、テザー・リミテッドからUSDT入金がされます。
このときテザー・リミテッドが受け取ったドルと、市場に出回るUSDTの量は常に一定となっています。
そのためTether(テザー)の価格とドルの価格は常に一定になるのです。
テザー・リミテッドから受け取る(リザーブ)ことでUSDTを手にすることができるため、Tetherの仕組みはPOR(プルーフ・オブ・リザーブ)と呼ばれます。
保有しているUSDTをドルに換金したい場合は、反対にテザー・リミテッドの銀行口座にUSDTを入金します。
そうすれば、入金したUSDT分のドルを手にすることができます。
Tether(テザー)のメリットは?
Tether(テザー)は既存の通貨とビットコインなどの仮想通貨の両方の欠点を補完した仮想通貨と言われています。
既存の通貨の欠点は送金をするのに時間がかかり、そして送金手数料が高いことです。
一方ビットコインなどの仮想通貨の欠点は、価格の変動が激しく実用には向かない、暴落により損をする可能性があることが挙げられます。
Tetherの場合はドルの価格にペッグ(固定)されているため、価格の変動がほとんどありません。
またビットコイン同様に、ブロックチェーンによって取引がされますので送金が早く、送金手数料も少額で済みます。
さらに価格が固定されているため他の仮想通貨とは違い、国の規制を受けても価格が下がらないという側面もあります。
Tether(テザー)のデメリット・リスクとは?
次にTether(テザー)のデメリット・リスクについて見てましょう。
Tether(テザー)のデメリット① 投資には不向き
まず最初にデメリットとして挙げられるのは、Tether(テザー)に投資しても大儲けは狙えない、ということです。
仮想通貨の取引によって億万長者となった人、億り人の数は日に日に増えているようですが、Tether(テザー)は価格が一定なので価格が上がって利益になる、ということはありません。
Tether(テザー)のリスク
Tether(テザー)は発行元であるテザー・リミテッドの影響が非常に強い仮想通貨です。
そのため発行元であるテザー・リミテッドに何か問題が起きた場合、保有しているUSDTをドルに換金できなくなるというカウンターパーティーリスクがあります。
カウンターパーティーリスクとは、金融取引において相手の不手際・破綻などによって契約が履行されないリスクのことです。
テザー・リミテッドはいつでもUSDTとドルを換金できるように、常にUSDTの発行量と同等のドルを保有していると言われています。
しかしながら、Tetherの人気が高まり多くの人がUSDTを発行するようになった結果、現在(2018年5月)なんと世界中で約25億枚のUSDTが発行されています。
1USDTは1ドルですので、現在テザー・リミテッドは25億ドル(2500億円)もの大金を保有していることになります。
テザー・リミテッドは自社の公式ホームページで、「Every tether is always backed 1-to-1, by traditional currency held in our reserves. So 1 USD₮ is always equivalent to 1 USD.(我々は常にテザー発行分のドルを保有しています、そのため常に1USDTは1USDとなります)」と述べていますが、現実的に考えて2500億円もの大金を保有しているかどうかは非常に疑問です。
もし現金保有をしていなかったら、テザー・リミテッドはドルと交換でUSDTを発行してはいないことになります。
となるとドルとUSDTの価格は同じではなくなり、Tether(テザー)の価格の信頼性が失われてしまいます。
また既存の銀行は万が一倒産しても、預金者には1000万円までの返金が保証されています。
しかしながらテザー・リミテッドは銀行ではないため、テザー・リミテッドが倒産しても返金を行う義務はなく、返金保証はありません。
つまり今後テザー・リミテッドが現金保有をしていないことが明らかになりテザー・リミテッドが倒産となった場合、それまで持っていたTether(テザー)が1円の価値もなくなってしまう、という可能性があります。
ハッキングによって30億円分の Tether(テザー)が流出してしまった事件が起きたことや、台湾銀行とアメリカの証券会社ウェルズ・ファーゴとの業務提携を突然解消したことで、テザー・リミテッドの信用性は現在とても低いものです。
今後Tether(テザー)を購入する上で、このようなリスクがある、ということはしっかりと頭に入れておいてください。
Tether(テザー)の価格推移&チャート
Tether(テザー)はペッグ通貨であり、ドルに価格が固定されているため、ほとんど値動きはありません。
多少の変動は誤差の範疇と見なして結構です。
Tether(テザー)の将来性は?
Tether(テザー)は価格が一定であることから、投機対象としてではなく、資産としての人気が強い仮想通貨です。
また他の仮想通貨の価格が安定するまでは、 Tether(テザー)が代わりに日常生活の場面で使われるのではとも考えられています。
Tether(テザー)自体の価格が上がったり下がったりすることはありませんが、 Tether(テザー)はアメリカドルにペッグされています。
したがって、日本円をドルに換えて Tether(テザー)を購入する場合、ドルの価格が下がってしまう(円高になる)と損をしてしまう可能性があります。
Tether(テザー)を買う場合には、アメリカの景気動向もチェックして円に対してドル高なのかドル安なのかを把握するようにしてください。
Tether(テザー)まとめ
- Tether(テザー)はアメリカドルのペッグ通貨
- Tether(テザー)の価格とドルの価格は常に一定(1USDT=1USD)
- 価格が安定していて、送金が早くて安いのがメリット
- 価格が上がることは無いので、投資には不向き
- テザー・リミテッドによるカウンターパーティーリスクがある
- テザー・リミテッドは現金保有量やハッキング事件などで信用がない状態
- Tether(テザー)を買う場合は、アメリカの景気動向、ドル自体の価格をチェックする必要がある