ビットコインやイーサリアムの仕組みに重要なDAOとは?

仮想通貨を理解する上で大事なワードの1つにDAOという言葉があります。DAOとはどういう考え方なのか、また世間を揺るがしたtheDAO事件とは何だったのかを簡単に解説します!本記事ではビットコインやイーサリアムとDAOの関係性などを詳しく解説いたします。

はじめに

ビットコインとPCのイラストビットコインやイーサリアムについて調べているとよく、DAO、という言葉を目にすると思います。
DAOは、ビットコインを始めとする仮想通貨を支える、重要な考え方です。
仮想通貨を理解するには、DAOは欠かせない、必須の知識となります。

DAOは少し抽象的な概念ですが、分かりやすく、解説していきたいと思います!

DAOとはどのような仕組みなのか?

DAOとはどのような仕組みなのか?DAOとは、Decentralized ・Autonomous・ Organizationの略語のことです。
このままでは分かりづらいので、1つ1つ単語の意味を調べて見ましょう。

  • Decentralized は日本語で、権力を分散する、という意味です。
  • Autonomous は日本語で、自立独立した、という意味の英語です。
  • Organization は日本語で、組織、という意味になります。

したがって、DAO(Decentralized ・Autonomous・ Organization) とは、自立・分散型の組織、という意味です。

簡単に言うと、DAOとは「1つの団体・人物に権力が集中することなく、参加者全員が主体性・独立性を持った組織」のことです。

会社に例えて言うなら、社長や経営者が1人でプロジェクトや経営方針を決めるのではなく、社員全員で意見を出し合って、物事を進めて行きましょう、という考え方です。
とても民主的な考え方ですね。

このDAOの考え方が如実に出ているのが、ビットコインです。
次に、ビットコインにおける、DAOの考え方を見てみましょう。

ビットコインとDAO

ビットコインとDAOの関係ビットコインには、中央銀行のような通貨の管理者がいない、と聞いたことはありませんか?
実はビットコインには、既存の通貨とは異なり、中央銀行のような通貨を管理したり、発行したりする巨大な権限を持った組織が存在しません。
あるのは、ビットコインのネットワークが運営されるためのルールだけです。

しかしながら、ビットコインが通貨として運用されるには、誰かが銀行の代わりとなって、ビットコインを管理しなければいけません。
ビットコインがしっかりと管理されなかったら、今、誰がビットコインを何枚持っているのか、誰から誰にビットコインが送金されたのか、といったことが分からなくてなってしまいます。

では、誰が、銀行の代わりに管理者が存在しないビットコインを管理するのでしょうか?
それは、ビットコインのネットワークに参加している人、全員でビットコインの管理を行うのです。

ビットコインの管理には、ブロックチェーンと呼ばれる技術が使われます。
ブロックチェーンとは、数ある情報同士を1つに繋いでしまう情報の管理方法のことです。
1つ1つの情報をブロックといい、それらの情報を鎖でつなぎ合わせる様子をイメージしていただくと、分かりやすいかもしれません。
情報を個別に保存して管理するよりも、情報同士に相互性を持たせて管理することで、ハッキングや情報の改ざんといった不正がほぼ不可能になります。

そして、ブロックチェーン技術を利用して、ビットコインの情報を作成し、情報同士をつなぎ合わせることをマイニングと言います。
つまり、マイニングとは、ブロックチェーンでビットコインを管理する方法のことです。
マイニングを行う人のことを、マイナーと呼びます。

また、既存の銀行の場合だと、通貨の取引記録などの情報は、一般向けに公開はされていません。
ですが、ビットコインの場合は、通貨の取引記録や送受金の履歴は全て、明らかになっています。
そのため、実際にマイニングを行うマイナー以外の人でもビットコインの取引記録をチェックすることで、ビットコインの管理を間接的に行うことができます。

まとめると

「ビットコインには、中央銀行のような巨大な権力を持った管理者は存在せず、参加者全員が通貨の管理をすることで、ビットコインは運営されている」

ということになります。

この仕組みは、まさにDAOそのものです。
また、多くの仮想通貨はビットコインの仕組みを基にして、作られています。
したがって、DAOは、仮想通貨を支える重要な仕組み、と言っても過言ではありません。

イーサリアムとDAO

イーサリアムとDAOの関係DAOの考え方をビットコインよりもさらに、重視しているのがイーサリアムという仮想通貨です。
イーサリアムは、ビットコインを基にして作られています。
しかし、イーサリアムの開発者は、ビットコインのDAOはまだまだ不完全である、と考えました。
そのためイーサリアムは、ビットコインよりも権力の分散により、重点が置かれています。

そしてDAOとイーサリアムを応用させて生まれたのがthe DAOです。
しかしながら、the DAOはある事件により、大騒動を巻き起こしたことで有名となってしまいました。
次に、イーサリアムのthe DAO事件とは何だったのか、解説していきたいと思います。

the DAOとは

the DAOとは「DAOの考え方とイーサリアムを融合させた、クラウドファンディング」のことです。

クラウドファンディングとは、新しく事業を興したい人が必要な資金をインターネット上で、一般者から募るという資金の調達方法のことです。

通常のクラウドファンディングの場合、資金はクラウドファンディングを取り仕切る運営によって集金されます。
しかし、DAOには運営者のような権力者は存在しません。

theDAOでは、イーサリアムのブロックチェーン上で、クラウドファンディングが行われます。
そして、資金を集めたい人自身が、直接出資者から資金を集めることができます。
また、イーサリアムのブロックチェーン技術を使うため、クラウドファンディングで出資される通貨には仮想通貨のイーサリアム(ETH)が用いられます。
非中央集権のクラウドファンディングで、さらに注目度が高いイーサリアムを使うとあって、theDAOは革新的な投資ファンドとして期待をされていました。
theDAOによって、多くの人が起業を行うようになる、と予想されていたのです。

事実、theDAOの実施当初はわずか数週間で100億円もの資金を調達するなど、その道のりは順風満帆なものでした。
しかしながら、theDAOはある事件によって、最終的に失敗に終わってしまいます。
それが、the DAO事件です。

theDAO事件

期待度が高かったthe DAOは、最終的には失敗に終わってしまいました。
その理由は、theDAOのシステムから50億円ものイーサリアムがハッキングによって盗まれてしまったからです。
一般的に、この出来事はthe DAO事件として知られています。

the DAOがハッキングされた理由は、theDAOのシステムに脆弱性があったことと、送金にバグがあったからと言うのが通説です。
イーサリアム自体のセキュリティに不備があったわけではありません。
それでもtheDAO事件は、プロジェクト自体が失敗に終わってしまっただけでなく、仮想通貨イーサリアムにまで大きな影響を及ぼしました。

それがイーサリアムの分裂騒動です。

イーサリアムの分裂

the DAO事件を受けてイーサリアムの開発者たちの中で、ハッキングが存在しなかったことにして、ハッカーが奪ったイーサリアムを使えないようにしようという案と、その案は非中央集権の考え方に反するという2つの意見が対立しました。

その結果、ハッキング被害を無かったことにするため、ハードフォークが行われたイーサリアムと、ハードフォークが行われていないイーサリアム・クラシックという2つの仮想通貨に分かれてしまったのです。
ハードフォークとは、新たなルールを適用するために、古いルールを無視して新ルールを適用することを言います。

イーサリアムの方では、ハッキング被害の事実は存在しておらず、イーサリアム・クラシックの方ではハッキング の事実が存在しているというのが、2つの通貨の大きな違いです。
イーサリアムとイーサリアム・クラシックはシステム的にはほとんど同じですが、イーサリアム・クラシックの方がセキュリティが重視されて作られています。
とはいえ、利用者が多く、時価総額が高い(全仮想通貨中2位)仮想通貨なのはイーサリアムの方です。

theDAO事件は、ハッキングによる盗難騒動だけでなく、イーサリアムの分裂するきっかけを作ったことで、仮想通貨史に残る重大な出来事だったのです。

まとめ

DAOに関するまとめこの記事をまとめると、

  • DAOとは、1つに権力が集中しない、非中央集権で、権力が分散した、分散自立型組織のこと
  • クラウドファンディングにDAOの考え方と、イーサリアムの技術を組み合わせ他のが、theDAO
  • theDAOはハッキングにより50億円相当の盗難被害にあう→theDAO事件
  • theDAO事件を受けて、イーサリアムはイーサリアムと、イーサリアム・クラシックに分裂

ということになります。
今後の仮想通貨に関する知識の理解にお役立てください。

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