匿名性の高い仮想通貨の元となったBytecoin(バイトコイン)。最近は後続のMonero(モネロ)やDASH(ダッシュ)に押され気味ですがその技術やシステムには眼を見張るものがあります。ここではBytecoin(バイトコイン)の特徴やチャート、将来性などを解説いたします。
Bytecoin(BCN)のリアルタイム相場価格と時価総額ランキング
バイトコイン(BCN)の相場価格と時価総額ランキングをリアルタイム表示
Bytecoin(バイトコイン)の基礎情報
Bytecoin(バイトコイン)は2012年の7月に発行された仮想通貨です。
通貨単位はBCNで表され、2018年の5月現在、1BCNあたり約1円で取引がされています。
全仮想通貨の時価総額ランキングでは、2000種類近くある仮想通貨の中で16位に位置しています。
現在、匿名性が高い仮想通貨は数種類存在しますが、Bytecoinは匿名性が高い仮想通貨の大元とも呼ぶべき仮想通貨です。
Bytecoinを元にして作られた仮想通貨も多く、時価総額で12位に位置するMonero(モネロ)はBytecoinを元にして作られています。
では、そんなBytecoinの特徴を次に見てみましょう。
Bytecoin(バイトコイン)の特徴
ビットコインは公開帳簿式とも呼ばれ、通貨の取引記録が管理されているブロックチェーンを照合すれば、誰が・誰に・いくら・ビットコインを送金したのかが分かるようになっています。
(もちろん、ビットコインのアドレス、銀行口座のようなものが分かるだけで、取引記録から個人情報までが特定されるわけではありません)
中央銀行のような管理者が存在しないビットコインでは、誰でも通貨の取引記録を確認できるようにすることは、参加者全員でビットコインの管理を行うとともに、不正が行われていないかをチェックする役割も果たしています。
しかしその反面、誰がいくらビットコインを保有しているかも把握できてしまうため、多くのビットコインを持っている人がハッカーに狙われてしまうという側面もあります。
一方のBytecoinは匿名性が高く、誰が・誰に・いくらBytecoinを送金したかは外から見ても分からないようになっています。
匿名性が高い、これがBytecoinの1番の特徴です。
Bytecoinの匿名性の高さの秘密はBytecoinをプログラミングするアルゴリズム、CryptoNightにあります。
CryptoNightにはリング署名・ワンタイムキー・キーイメージ・ブロックチェーン分析抵抗という匿名性を高めるための4つの技術が使われています。
どの技術もBytecoinがユーザーのプライバシーを保護し、匿名で送金がされるための重要な役割を果たしています。
①リング署名
リング署名とは、1人だけではなく複数の人が送金の署名を行うことです。
通常、仮想通貨を送金する場合は秘密鍵と呼ばれるパスワードのようなものと、銀行口座の役割を果たす公開鍵が必要となります。
送金者は自分の秘密鍵で署名を行い、送金リクエストを送ります。
送金リクエストを受け取った人は、送金リクエストと送金者の公開鍵を照合し、正しければ自分の秘密鍵を用いて送られてきたお金を受け取ることができます。
この場合、送金者の公開鍵は誰でも知ることができるため誰から誰に送金がされた、ということを周囲の人は知ることができます。
一方のリング署名の場合、送金を行いたい人はランダムに選ばれた複数人とまとめられて、1つのグループにされます。
そのグループ内で一時的な公開鍵(ワンタイムアドレス)が作られ、送金リクエストへの署名もグループのメンバー全員が行います。
そのため、送金リクエストを受け取った人は誰から送金がされたのか知ることはできません。
グループ化されたメンバーもグループ内の中の誰かが送金をしたことは分かるものの、誰が送金したことまでを特定することは不可能です。
当然、第3者から見ても誰が送金を行ったかを把握することはできず、Bytecoinは匿名での送金が可能となります。
②ワンタイムキー
送金を希望する人は一時的に使用することができるアドレス(銀行口座のようなもの)、ワンタイムアドレスが作られます。
そしてそのワンタイムアドレスと送金相手の公開鍵を元にして、次にワンタイムキー が作られます。
ワンタイムキーとはネットバンキングで利用されるような、短時間だけ利用できるパスワードのことです。
Bytecoinが送られてきた相手は自分の公開鍵を元にしてワンタイムキーを知ることができます。
③キーイメージ
仮想通貨には二重払い、二重支出という問題があります。
これは同じ仮想通貨を2人の人に送金してしまうことで発生してしまうバグのようなものです。
二重払いを行えば持っている分の通貨の2倍の額を送金することができるため、バグではあるものの二重払いが不正に利用される可能性は十分にあります。
そのため、二重払いが行われないように何か策を考えなければいけません。
ビットコインでは参加者全員がブロックチェーンの取引記録を管理・監視することで二重払いの不正が行われていないかどうかチェックしています。
ブロックチェーンを誰でも確認できることで、ビットコインでは不正が起きにくくなっているのです。
ところが、Bytecoinは匿名性が高いためブロックチェーンの取引記録を見ても、二重払いを見抜くことはできません。
そこでBytecoinでの二重払いを防止するためにあるのが、キーイメージです。
キーイメージとは秘密鍵(パスワード)からのみ作られます。
また、キーイメージから秘密鍵を特定することはできません。
キーイメージは複製をすることが不可能で一度使用されたら消滅するため、送金の際にキーイメージを用いれば二重払いを防ぐことができます。
④ブロックチェーン分析抵抗
先ほど述べたとおり、ビットコインは通貨の取引記録が管理されているブロックチェーンを見れば誰が・誰に・いくらビットコインを送金したかが分かるようになっています。
しかしながらBytecoinの場合は、ブロックチェーンを確認しても誰が・誰に・いくら・Bytecoinを送金したのかは判別することができません。
その秘密が、ブロックチェーン分析抵抗です。
ブロックチェーン分析抵抗とは文字どおり、Bytecoinのブロックチェーンが分析されるのを抵抗する仕組みのことです。
Bytecoinのブロックチェーンには、リング署名で使われなかった他のアドレスがダミーとして記録されています。
取引が増えるにつれて、ダミーのアドレスも増えるため、ブロックチェーンを確認しても取引内容は分かるものの誰から誰に送金がされたかを把握するのは困難になります。
Bytecoin(バイトコイン)のメリット
次にBytecoinのメリットについて見ていきましょう。
①マイニングが簡単
ビットコインのマイニングは計算量が膨大なため、高性能な専門のコンピューターが必要になります。
そのため今ではビットコインのマイニングは資金力に優れた一部の個人・組織しか行うことができません。
マイニングの報酬はとても大きなものであり、一部の人間だけがマイニングの報酬を独占している状態です。
一方、Bytecoinの場合はマイニングの計算量が少なく個人の平均的なパソコンでもマイニングを行うことが可能となっています。
そのためマイニングを行うマイナーの数も多くなり、1人のマイナーへ利益が集中することはありません。
またマイナーに権力が集中することもないので51%アタックのリスクが低い、というのもマイニングを容易にしているBytecoinのメリットの1つです。
しかしながらBytecoinのマイニングは難易度が簡単な分、受け取ることができる報酬も低くなっており進んでマイニングをやるほどのインセンティブはない、というのが実情です。
②送金手数料が無料&早い
Bytecoinは送金をするのに手数料がかかりません。
またマイニングが簡単なため取引の承認スピードが早く、送金を早く行うことができます。
Bytecoinのブロックが生成される時間は2.5分で、ビットコインの送金時間である10分に比べるて5分の1の早さで送金をすることが可能です。
③ハッカーに狙われにくい
ビットコインの場合は、ブロックチェーンを見れば通貨の取引記録を把握することができます。
また、誰が(どのアドレスが)いくらビットコインを保有しているかも分かるため、大量のビットコインを持っている人はハッカーの標的にされてしまう可能性が高くなります。
Bytecoinは匿名性が高いので、第3者から見て誰がいくらBytecoinを持っているかどうか判別することができません。
そのため、ハッカーに狙われるリスクは低いと言えます。
またBytecoinのアルゴリズムである、CryptoNight自体にもハッキングに強いという特徴があります。
Bytecoin(バイトコイン)のデメリット
次にBytecoinのデメリットを見ていきましょう。
①規制のリスクがある
Bytecoinは匿名性が高いという特徴がありますが、これを利用してBytecoinがマネーロンダリングや闇サイトなどの決済に使用される可能性があります。
Bytecoinが悪用されると国の政府によってBytecoinを規制するような動きが出てくるかもしれません。
規制を受けるとBytecoinの運営団体が営業停止となり、Bytecoinの出入金ができなくなってしまう恐れがあります。
これはBytecoinに限らず、MoneroやDASHなど匿名性の高さを売りにしている仮想通貨、全般に言えることです。
②他の仮想通貨との競合
Bytecoinは一番最初に作られた匿名性が高い仮想通貨ですが、現在その立ち位置は不安定なものとなっています。
理由はMoneroやDASH、ZCashなど匿名性の高さを売りにした仮想通貨が多く誕生していることです。
Bytecoinから派生したMoneroは現在時価総額で12位、DASHは13位とそれぞれBytecoinよりも高い位置にいます(Bytecoinは16位)。
将来的に同じような特徴を持つ仮想通貨がいくつも共存するということは考えられず、今後はいくつかの通貨が淘汰されていくのは確実でしょう。
すでに他の通貨に遅れをとっているBytecoinはとても分が悪いと言えます。
Bytecoin(BCN)の価格推移・チャート
Bytecoinは2014年に発行され、仮想通貨の中では比較的初期から存在している仮想通貨ですが、2017年まで1BCNあたり0.003〜6円あたりをずっと推移していました。
それでも2017年の年末から年始にかけて、仮想通貨市場全体が盛り上がりを見せたこともあり1BCNあたり約1.5円まで値上がりをします。
価格が小さいため分かりづらいですが、1年間で何と500倍近い上昇率です!
その後アメリカ証券取引委員会が仮想通貨の規制を厳しくする方針を示唆したことで、他の仮想通貨同様に価格を下げています。
ですが2018年の5月に中国の大手取引所であるバイナンスへの上場が発表されたことで、今後Bytecoinの価格が大きく上がることが期待できます
Bytecoin(バイトコイン)の将来性は?
「経済システムの究極は、効率的な経済活動が最小のコストで行われ、消費者の利益となることです。私たちの目標は、そのような新たな経済システムを構築することにあります。その中で非中央集権による自己規制、システムのオープン性、平等主義の3つを原則としてプロジェクトを推進していきます」とホームページ上で述べています。
しかしながら、NEMなどのように新しい経済システムを構築することを目的としている仮想通貨はたくさんあり、新たな経済システムとはどのようなものなのか、今後どのような開発がされるのかがBytecoinでは具体的に明示されていないため、イマイチ目的が分かりづらいというのが率直な感想です。
確かにBytecoinのアルゴリズム、CryptoNightやリング署名、キーイメージ、ブロックチェーン分析抵抗といった技術は素晴らしものの、売りである匿名性の高さでMoneroやDASHに対して遅れをとっているのは事実です。
今後、Bytecoinが多少の値上がりをすることはあっても将来的にずっと残り続けるのは難しいのではないでしょうか。
とはいえ、MoneroやDASHなどの匿名性が高いと言われる他の仮想通貨でシステムに不備があったりハッキング事件が起こった際にBytecoinの人気が高まることもあるかもしれません。
2018年の上半期のBytecoinのロードマップを見ると6月にハードフォークがあり、7月4日には発行から6周年を記念したサプライズがあると書かれています。
サプライズがどのようなものかは分かりませんが、少し楽しみでもあり、この時が近づくにつれてBytecoinの人気が高まることも予想されます。
Bytecoin(バイトコイン)のまとめ
- Bytecoinは匿名性が高い仮想通貨の草分け的存在
- 匿名性の高さの秘密はBytecoinのアルゴリズム、CryptoNightにある
- マイニングが簡単、送金手数料が無料、送金が早いといったメリットがある
- 規制のリスク、MoneroやDASHとの競合は不安要素
- 7月4日に発行6周年を記念して大きなサプライズが!?