ICOは儲かると聞いたことはありませんか?ICOを知らないまま巷に流れるICO情報を鵜呑みにするのは非常に危険です。そこでICOとは何か、間違えやすいIPOとの違いも含めて簡単に解説したいと思います。
はじめに
最近、「ICO」と言う言葉をよく目にすることが多くなりました。
「最新のICO情報をいち早く教えます!」というネット広告なども頻繁に見かけますね。
よくICO前に仮想通貨を買えば儲かるという話を聞きますが、ICOのことを詳しく知らずにそれらの情報を鵜呑みしてしまうと損をしてしまう危険性があります。
そこでICOとは何かを理解していただくために、ICOのメリットや実際にあったICOの成功例も含めて解説していきたいと思います!
ICOとは
ICOという言葉は3つの英単語からなる略語です。
ですのでまずは言葉の意味を分かりやすくするために、ICOという言葉をそれぞれ3つに分解してみましょう。
すると以下の通りになります。
- I…initial (イニシャル)
- C…coin (コイン)
- O…Offering(オファリング)
分解してお分かりのとおり、ICOとは「Initial Coin Offering」のそれぞれの頭文字を取った略語です。
しかし英語の意味からICOとは何かを推測するのは難しいと思うので、今度はそれぞれの言葉の意味を考えてみます。
- Initial:最初の、初めての
- Coin:通貨(ここでは仮想通貨を指します)
- Offering:付け値
イニシャルは最初の、初めてのという意味の英単語です。
よくローマ字にした苗字と名前の最初の1文字ずつをイニシャルと言いますね。
コインの意味はお金全般を指すのではなく、ここでは仮想通貨のことを指します。
円やドルなどのお金のことではないので気をつけてください。
オファリングは「条件をオファーする」といった風に、日本語の文中でもよく使われる英単語ですね。
日常会話で使う場合のオファーは提供する、申し入れをするという意味ですが、この場合のオファーは少し意味が違ってきます。
オファリングとはマーケティング用語として使われる場合、「付け値」という意味で用いられます。
付け値とは、売り手・販売者が商品やサービスに値段をつけることです。
日常会話で使うオファーとは意味が少し異なるので、気をつけてください。
ICOの3つの単語の意味を理解していただいたところで、3つを繋げてみましょう。
繋げるとICOとは、「イニシャル・コイン・オファリング」、日本語でいうと「新規仮想通貨公開」という意味になります。
いかがでしょう?だんだんとICOの意味が見えてきたでしょうか?
ICOは資金調達の方法!
ICOを簡単に言うと、新しい仮想通貨を発行して、みんなにその通貨を買ってもらってお金を集めることです。
新規事業のための資金が欲しい企業が、独自の仮想通貨を発行しその通貨を買ってもらうことで資金を調達するというのがICOです。
なぜICOするのか?
ICOの意味はもうお分りいただけましたね。
では、企業はなぜ、ICOをするのでしょうか?次にICOをする理由を考えてみたいと思います。
ICOする理由の1つは先ほども述べたとおり、資金調達のためです。
企業が資金を調達するには他にも銀行やベンチャーキャピタル(大口投資家)などからお金を融資してもらうという方法もあります。
しかし、融資とは望めば簡単にお金をポンッとくれるものではありません。
本当に事業が上手くいく可能性があるのか、事業を始めようとする目的は何か、と銀行や投資家たちから厳しく審査されます。
そのため、資金を得るのにとても時間がかかります。
また確実に融資を承諾してくれるとは限らず、融資を断られてしまうケースも多々あります。
しかし、ICOならばネット上で簡単に資金を集めることができます。
そしてICOは融資ではないので、集めたお金を通貨を買ってくれた人に返す必要がありません。
ICOをして投資家やトレーダーが通貨を買ってくれれば、その分のお金は自分たちのものになります。
そうして得た資金を元に新たな事業を始めることができます。
そのため、ICOは融資よりも簡単でてっとり早い資金調達方法として注目を集めているのです。
ICOをする理由は資金調達以外にもう1つあります。
それは既存の通貨にとって代わる仮想通貨を発行して、世の中に普及させることが目的でICOをすることです。
仮想通貨は電子データですので、大きな額でも持ち運びが便利、送金が早くて安いといったメリットがあります。
もし、仮想通貨が円やドルに変わって日常で使われるようになれば、とても便利な世の中になることが予想されてるのです。
IPOとの違い
ICOとよく似た言葉にIPOというものがあります。
IPOとはInitial・Public・Offeringの略のことです。
お気付きの通り、ICOと一文字だけ英単語が違うだけですね。
ICOの「coin」の部分が「public」に変わっているだけで他の意味は変わりません。
ですのでIPOとICOでは発行するものが変わってきます。
ICOでは仮想通貨を発行しますが、IPOでは代わりに何を発行するのでしょうか?
IPOで発行するもの、それは株です。
企業は資金を調達するために、自社の株を発行します。
つまりIPOとは新たに自社株を発行して投資家に買ってもらい、資金を集めることなのです。
実は、以前まで企業が融資以外に資金を集めようと思ったら、IPOをすることが一般的でした。
しかしIPOの場合、企業と株を買う投資家の間に証券会社が仲介として入ります。
そのため取引に時間がかかる、証券会社に仲介手数料を払わなければいけないというデメリットがIPOにはあります。
しかしICOは前述の通り、取引が簡単・スピーディーで、仮想通貨を買いたい人は証券会社を介さずに直接、企業から通貨を購入することができます。
そのため今では株を発行して資金を調達するIPOよりも、仮想通貨を発行するICOの方が好んで選ばれるようになっています。
とはいえ、IPOには株を買った人は株主総会といって企業の経営に参加できる、株を買った株主だけに特典がある株主優待を受けられるといったメリットもあります。
反対にICOには仮想通貨が得られる以外に、これといった特典はありません。
通貨を購入する人は単純に通貨が価格が値上がりすること意外に、利益は得られないことになります。
企業のサービスが安くなる、特別なサービスが受けられるといったことを望む方は仮想通貨を買うよりも株式を買うことをオススメします。
ICOは通常の株式上場とは違う?
IPOとICOの違いは先に述べたように、発行するものが株式か仮想通貨か、の違いになります。
もう少しIPOについて補足しておきましょう。
正式にはIPOとは、未上場の会社が新しく株式を上場し、取引証券所で自社株が取引されるようになることを言います。
日本には東京証券取引所1部(東証一部)や東京証券取引所二部(東証二部)、マザーズ、ジャスダックといった取引所が存在しています。
証券取引所とは企業の株を売買するところです。
売り上げや利益、社会貢献などの基準を満たしているか審査があり、合格した企業が証券取引所に晴れて登録されます。
取引所に登録されて、自社株が取引所で売買されるようになることを上場と言います。
上場をしていなくとも企業は株を発行することは可能です。
しかし、IPOといった場合には上場して証券取引所に登録されて新たに発行する株を増やすことを指します。
ICO、IPOの「I」はイニシャル、最初の、という意味だったことを思い出してください。
ですからIPOは単に最初に株を発行することを言うのではなく、上場した後に株を発行することを言うのです。
仮想通貨の場合にも企業の上場に相当するものがあります。
仮想通貨は仮想通貨取引所、という所で売買をされています。
仮想通貨取引所に仮想通貨が登録されることを、仮想通貨の世界でも上場と言うのです。
上場すれば、通貨の信用度が上がります。
また、多くの人が取引所を介して上場した通貨を買うことができますので、上場後には通貨の値段が数倍以上に上がることもあります。
上場すれば価格が上がる、この点に関しては株式でも仮想通貨でも同じことです。
しかし、上場後に株式を発行することをIPOと言うのに対して、ICOの場合は必ずしも上場後に発行される通貨とは限りません。
ICOは取引所を介さなくても、企業が独自に行うことができます。
この点もICOとIPOの違うところなので、覚えておきましょう。
まとめると、IPOは株式の上場に伴うものですが、ICOは上場とは関係ありません。
株式でも仮想通貨でも上場という仕組みがあるため、ICOをするには上場をしなければいけないと勘違いしている方は非常に多いです。
〇〇会社がICOをした、と聞き仮想通貨を買おうと思って取引所を見ても必ず仮想通貨があるとは限りません。
多くの場合は企業から直接、通貨を買うことになりますので注意してください。
ICOのメリット
ICOについて大体の概要、間違え易いIPOとの違いはご理解いただけたでしょうか?
では次にICOのメリットをICOをする側から見た場合と、通貨を買う側の視点から見た場合のそれぞれ挙げてみたいと思います。
ICOをして仮想通貨を発行するメリット
ICOを企画する側の主なメリットを以下で紹介していきます。
資金調達が早い
仮想通貨は電子データで、インターネット上で使うことができる通貨です。
ICOの場合にもインターネット上で全ての取引が完結します。
そのため資金調達までの時間がとても短くてすみます。
すぐにお金が必要という中小企業や個人の方でも、ICOなら短時間で資金を得ることができます。
返済をしなくていい
銀行やベンチャーキャピタル、ファンド、投資家などから融資を受けることでも、企業は資金を得ることができます。
しかしその場合、融資で得た資金は将来的に必ず返済をしなければいけません。
ただ受け取った額をそのまま返すのではなく、利子をつけて返す必要がある場合もあります。
しかしICOの場合は仮想通貨を発行して売却し得たお金は全て発行元の企業のものになります。
株式を発行するIPOの場合でも株式を売却した分の資金は投資してくれた人に返す必要はありません。
しかしながらIPOの場合、株を購入してくれた株主に対して配当金や株主優待をしなければいけません。
せっかくIPOして資金を調達できたものの、配当金などで希望通りの資金を得ることができなかったというケースは多々あります。
しかしICOの場合、通貨を購入してれた人に配当金や優待等の特典を与える必要がありません。
その分、IPOよりも多くの資金を調達できることになります。
仲介手数料を払わなく済む
IPOの場合、新たに発行した株式は全て証券取引所で売買がされます。
そのため証券会社に対して、仲介手数料を払う必要があります。
仮想通貨にも売買をするための取引所がありますが、ICOはIPOと違って取引所を仲介する必要がありません。
ですから取引所に手数料を支払う必要がないのです。
手数料を払わなくていい分、企業は多くの資金を調達することができます。
世界中の人から資金調達が可能
仮想通貨はインターネット上の電子データです。
今はインターネットさえあれば世界中の人とつながることができる時代です。
そのためICOをすれば、国をまたいで多くの国の人に発行した通貨を買ってもらうことができます。
また仮想通貨は国外への送金が早く、送金手数料も安いため株式よりも多くの外国人に買ってもらうことが可能です。
中小企業・個人でも可能
IPOをするには証券取引所への登録が必要になります。
当たり前ですが、全ての株式会社が簡単に上場できるわけではありません。
上場をして証券取引所で自社株を売買されるようになるには厳しい条件と、証券会社からの審査があります。
例えば日本の最高峰の取引所である東京証券取引所の第一部に上場するには、流通株が2万株以上、時価総額(会社の価値)が250億円以上、利益の総額が2年間で5億円以上である必要がある、などの厳しい条件があります。
条件をクリアしただけでは、まだ上場はできません。
さらに証券会社の審査として、収益性や経営の健全性、統治体制や情報の透明性などを厳しく審査されます。
ですので中小企業がIPOで資金を調達しようとするのはハードルが高いでしょう。
また、中小企業の方が資金を得ようと銀行に融資を頼んでも、すんなりと受け入れてくれることはなかなかありません。
中小企業であることから融資を断られてしまうことは珍しくないのです。
会社が倒産する最大の理由は資金難によるものという調査結果がありますが、そもそも中小企業は資金を集めることが難しいという矛盾があります。
しかし、ICOを行うのに特別な条件や審査はありません。
上場できない、銀行等から融資を断られてしまった中小企業でもICOは可能なのです。
未上場企業がICOで資金を調達する例は世界でいくらでもあります。
とはいえICOをするには、仮想通貨を安全に運用するための技術や知識が必要です。
通貨を買う人のメリット
今まではICOを行なって仮想通貨を発行する側のメリットを見てきました。
次にICOによって発行された通貨を買う側の人にはどのようなメリットがあるのか、見て行きたいと思います。
値上がりによって資産が増える
ICOは儲かる、という話はよく聞きますね。
仮想通貨を購入した後、発行元の企業のプロジェクトや事業が成功を収めれば仮想通貨の価格が上がります。
過去にはICOにより1時間で約200億円を調達したという例もあります。
購入した仮想通貨が爆発的に値上がりすれば、今話題の「億り人」の仲間入りをすることも夢ではありません。
仮想通貨の価格はICOの発表後、次第に上がって行きます。
ですからいち早く〇〇企業がICOをするらしい、という情報を掴んでおくことが大切なのです。
手数料がかからない
IPOで株式を購入する場合には、証券取引所を介して購入をすることになります。
例えば日本証券会社最大手の野村證券で100万円相当の株を購入した場合、手数料として約12,000円の手数料を野村證券に払わなければいけません。
率にすれば1.2%程度です。
人によっては微々たる数字かもしれませんが、株を購入する額が大きくならばなるほど、決して見過ごすことはできない金額になってきます。
ICOの場合、仮想通貨を発行する企業から直接、通貨を購入することができます。
IPOと違って取引所は仲介に入りません。
そのため手数料を一切払う必要が無いのです。
同じ額のお金を投資するのなら、株よりも仮想通貨に投資した方が手数料の分、断然お得ですね。
成功事例
ICO情報をいち早く掴めれば億万長者も夢ではありません。
では実際のところ、ICOでどれくらいの利益が出るのでしょうか?
気になる方は多い方と思います。
そこで過去にあったICOの事例の中から、いくつかピックアップしてみました。
百聞は一見にしかず!
ICOはどれほどの威力があるのかご覧ください。
1.OmiseGo(オミセゴー)の事例
まず1つ目はOmiseという企業が発行したOmiseGoという仮想通貨のICOの事例です。
Omiseとはタイでクレジットカード決済サービスを提供している、勢い著しいベンチャー企業です。
タイに拠点がある会社ですが、会社の名前からわかる通り、日本人起業家によって作られた会社です。
2017年の6月にICOで仮想通貨を発行し当初は1OMG=40円程度だったのですが8月には1OMGがなんと600円近くまで上昇しました。
その後、タイのマクドナルドや金融庁がOMGを決済に導入したことを受け、同月には780円まで価格が高騰しました。
1ヶ月間でなんと20倍も価格が上昇したのです。
ICO当初にOMGを購入した という方は購入時から40倍もの金額を手にすることになったそうです。
2.Brave(ブレイブ)の例
仮想通貨「Basic Attention Token」はSafari、Google chromeと並んで人気が高いブラウジングアプリ、firefoxを開発した会社であるBraveが発行した仮想通貨です。
すでにFire Foxという成功事例があり信用度が高かったのか、ICO開始直後のわずか30秒でなんと3500万ドルもの資金を調達しました。
日本円にして約35億円にもなります。
人気女性お笑い芸人もビックリですね(笑)
3.Ethereum(イーサリアム)の例
最後に紹介するのはイーサリアムという仮想通貨のICOの事例です。
イーサリアムはビットコインやリップルと並び知名度が高い仮想通貨ですし、購入したことはなくても聞いたことはある方が多いのではないでしょうか?
実際、イーサリアムは1000種類近くある仮想通貨の中でも、ビットコインに次いで2番目に時価総額が大きい仮想通貨です。
イーサリアムは2014年にICOを行いました。
当初は今ほど仮想通貨がブームになっていなかったため1ETHあたり20円程度でした。
それが現在、仮想通貨ブームの波に乗り、今ではなんと10,800倍も価格が上昇しています。
値段の上昇だけでなく、イーサリアムの独自のブロックチェーン技術は広く応用されており、アプリケーション作成の基盤になっています。
今後、決済だけでなく様々な手段に実用化されることが期待されている仮想通貨です。
2014年のICO直後に数万円でもイーサリアムを買っていたら大変なことになっていましたね。
いかかでしたでしょうか。
近年の代表的なICOの成功事例を僅かですが、挙げてみました。
まだまだこれ以外にもICOの成功事例はたくさんありますので、気になる方はご自身で調べてみてください。
着目していただきたいのは、ICOはすぐに通貨の値段が上がる場合と、ある程度の時間が経つまでは価格が上がらない場合があるということです。
最初に述べたOMGの例では、仮想通貨の価格が上昇するまで2ヶ月もかかっています。
必ずしもICOの直後に価格が爆発的に上がるわけではないのです。
そのため、ICOに参入して仮想通貨を購入するときは、いつ頃その通貨が上がるかどうかを見極めることが重要です。
ICOをする企業の事業内容やプロダクトをよく調べる必要があります。
買った直後には中々通貨の価格が上がらず、手放してしまった後に通貨の価格が爆上げする、なんてことになったら悔やんでも悔やみきれません。
今は上がらなくても数ヶ月先まで待ってみよう、という気長に構える忍耐力が必要なのです。
失敗例
ICOについての成功例を今まで見てきました。
しかしながらICOをすれば間違いなく成功するというわけではありません。
2018年に限って見れば、ICOをした仮想通貨の40%が希望通りの資金が調達できずに失敗に終わっています。
今年の3月までに行われた74のICOのうち、55のICOが赤字になってしまいました。
本来は資金を得るために行うICOで、赤字が算出されるのは大失敗だと言えるでしょう。
失敗したICO例を見ると特徴として
・事業計画がきちんとなされていない
・事業の継続年数が短い
・経営体制に不備が見られる
といったことが挙げられます。
主にICOをする企業側に問題があると、ICOが失敗となる可能性が高くなります。
ICOに参入する前にはちゃんと企業についてもある程度調べておかないと大きな損をしてしまうかもしれません。
また傾向として、アフリカや東南アジアといった新興諸国発祥のICOは失敗という結果に終わってしまうことが多いです。
ですが先ほども述べたとおり、ICOはすぐに合否が分かるものではありません。
今は失敗と言われていても、数ヶ月後に通貨の価格が急上昇している可能性はゼロではないのです。
終わりに
ICOについてご理解いただけたでしょうか?
ICOは上手くいけば大いに値上がりする可能性があるものの、失敗の危険性も十分にあります。
特に最近は詐欺まがいのICO情報が多く出回っています。
ICO、という言葉に釣られず、信用に値する情報かどうかキチンと見極めるようにしてください。
当サイトでは今後、確実に信用できる最新の情報をいち早くお伝えしていきますので、宜しければ確認してみてくださいね。