イーサリアム・クラシック( Ethereum Classic)がイーサリアムから誕生したきっかけとなったThe DAO事件やイーサリアムとイーサリアム・クラシックの違い、価格チャートや将来性などをわかりやすく解説していきます。
Ethereum Classic (ETC)のリアルタイム相場価格と時価総額ランキング
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Ethereum Classic (イーサリアム・クラシック)の基礎知識
イーサリアム・クラシックは2016年の7月に後述するThe DAO事件をきっかけにイーサリアムからハードフォークして誕生した仮想通貨です。
通貨単位はETCで表され、1ETCあたり0.6ドルから取引がスタートしました。
現在までの過去最高額は2018年1月に記録した1ETCあたり約45ドルとなっています。
通貨の時価総額ランキングでは10番台に位置しています。
イーサリアム( Ethereum )とは?
イーサリアム( Ethereum )はイーサリアム・クラシックの元となった仮想通貨です。
イーサリアムはブロックチェーンを応用したスマートコントラクトという技術と分散型アプリケーション開発のためのプラットフォームを構築することを目的としています。
スマートコントラクトとは日常からビジネスまでのありとあらゆる取引を、人が介在することなく、プログラム化して自動で行うようにしてしまう機能のことです。
また分散型アプリケーションとはブロックチェーンを利用して、中央管理者なしに運営・管理をすることができる非中央集権のアプリケーションのことを言います。
分散型アプリケーションの中には仮想通貨も含まれ、イーサリアムのプラットフォーム上からICOを行うこともできます。
イーサリアム・クラシック(ETC)が誕生したわけ:The DAO事件
イーサリアムからイーサリアム・クラシックがハードフォークを行った背景にはThe DAO事件があります。
The DAOとはもともとイーサリアムで進められていたプロジェクトのことです。
The DAOではDAOという名前の仮想通貨を使って、非中央集権型の投資ファンドを開発しようとしていました。
DAOはイーサリアムのブロックチェーン上に存在し、イーサリアムのスマートコントラクトを利用しており、資金を集めたり投資先を決定する運営者がいないというのが特徴です。
DAOトークンの保有者たちによる投票で投資先を決定し、集まった資金プールから投資をするという方法をとっていました。
しかしながらDAOコインをイーサリアム(ETH)に変換するためのスプリット(Split)機能の脆弱性を突かれ、資金プールから360万ETHが不正に流出してしまうという事件が起こります。
これがThe DAO事件です。
この時に不正流出した被害総額は当時のレートで43億円とも言われ、イーサリアムに大きなダメージを与えました。
そしてイーサリアムの運営はブロックチェーンの記録を360万ETHが盗まれる前まで遡らせ、盗まれる前でハードフォークを行うことによって不正流出が無かったことにするという対策を打ち出します。
このハードフォーク案はイーサリアムコミュニティーの過半数の賛成を得て、実施されたのですが、これに反対をしたのが後にイーサリアム・クラシックを開発する人たちです。
彼らは例えハッキング事件があったとしても、運営がそのような介入を行うのは非中央集権の定義に反していると主張しました。
その結果、The DAO事件の記録をブロックチェーン上に残した、イーサリアム・クラシックが誕生したのです。
イーサリアムとイーサリアム・クラシックの違いは?
イーサリアムとイーサリアム・クラシックの違いはひとことで言うなら、The DAO事件の記録がブロックチェーンに存在しているか、していないかということになります。
具体的にはイーサリアムには存在しておらず、イーサリアム・クラシックの方には存在しています。
イーサリアム・クラシックはイーサリアムからハードフォークしたため、技術的な相違点などは特にありません。
ただThe DAO事件を受けて、イーサリアム・クラシックはイーサリアムよりもセキュリティーの性能を向上させています。
加えてイーサリアムには通貨の発行上限枚数に現在のところ制限はありませんが、イーサリアム・クラシックは2億1000万〜2億3000万枚という上限が設けられています。
またイーサリアム・クラシックは分散型アプリケーションの中でも特に、IoT(Internet-of Things)アプリに焦点を当てたdAppのプラットフォームを目指しているという違いもあります。
イーサリアム・クラシック(ETC)の特徴
イーサリアム・クラシックの特徴として、エメラルドプロジェクト(Emerald・Project)が挙げられます。
イーサリアム・クラシックはイーサリアムからハードフォークした直後は、イーサリアムのように分散型アプリケーション(DApp)を開発するための共通のフレームワークが存在しませんでした。
そのためイーサリアム・クラシックのプラットフォーム上でDAppを開発するのは不便で困難な環境で、またスマートコントラクト機能も使いづらいというデメリットがありました。
そこで分散型アプリケーションの作成のためのフレームワークとして開発されたのがエメラルドプロジェクト(Emerald Project)です。
エメラルドプロジェクト(Emerald project)によってイーサリアム・クラシックでもdAppのプラットフォームとして活用できるようになりました。
またエメラルドプロジェクト(Emerald project)によってエメラルドウォレットと呼ばれるイーサリアム・クラシック専用のウォレットも開発されています。
イーサリアム・クラシック(ETC)のロードマップ&今後の開発予定
イーサリアム・クラシックのロードマップによると、2018年中にはモバイル端末用のエメラルドウォレットがリリースされ、さらにイーサリアムとの互換性をもたらすための開発が行われる予定となっています。
さらにはイーサリアム・クラシックにサイドチェーンが実装されることが計画されています。
サイドチェーンとはメインのブロックチェーンを補助するブロックチェーンのことです。
サイドチェーンを設けることによってトランザクションの並列処理が可能となり、メインチェーンの負荷が軽くなるため高速なトランザクション処理が可能となります。
続く2019年にはIoTアプリを意識した開発が行われ、他のブロックチェーンに相互性を持たす機能も追加される予定です。
加えてシャーディングと呼ばれるデータを複数のサーバーに分散して管理し、トランザクション(取引処理)を分担して並列処理を可能にする技術がイーサリアム・クラシックに備わり、スケーラビリティ の向上が期待されています。
イーサリアム・クラシックの(ETC)の価格推移&チャート
イーサリアム・クラシックは2016年の7月にThe DAO事件を受けて、誕生しました。
しかしながら内部分裂の末のハードフォークとうこともあり、当初はイーサリアム・クラシックへの評判はいいものではありませんでした。
1ETCあたり0.6ドルから取引がスタートし、すぐに2.5ドルまで価格が上がりますが、その後は価格が下落してしまいます。
それでも仮想通貨元年と呼ばれた2017年に、イーサリアム・クラシックは他の仮想通貨同様に大きく価格を上昇させます。
BinanceやHuobi、Upbit、といった大手の取引所に相次いで上場し、価格が20ドルを超えることとなりました。
11月には香港で「ETHEREUM CLASSIC SUMMIT」というイーサリアム・クラシックの技術者や支援者が集まるサミットが開催され価格が上昇します。
その後、12月にイーサリアム・クラシックの発行上限枚数を最大で2億1000万枚〜2億3000万枚に設定しマイニング 報酬を調整するハードフォークを行なった結果、ETCに希少性があるとされ、さらに高騰します。
年明けの2018年1月には1ETCあたり45ドルを記録しました。
しかしながら2018年に入ると、仮想通貨市場全体の森下がりもあり、全体的に価格が下落しています。
途中で大手取引所のBitrrexやCoinbaseに上場したものの大きな価格の高騰には至りませんでした。
また7月にはイーサリアム・クラシックからイーサリアム・エメラルドという仮想通貨がハードフォークしています。
イーサリアム・クラシック(ETC)の将来性は?価格は上がる?
イーサリアム・クラシックはイーサリアムのThe DAO事件への対処に反対して一部の人たちによって運営されています。
そのため開発者数や規模はイーサリアムよりも小粒であることは否めません。
基本的な技術などはイーサリアムと変わらないため、イーサリアムに押されて今後、縮小していってしまう可能性もあります。
それでもIoTというイーサリアムとは別の独自路線を進んでおり、IoT分野でイーサリアム・クラシックを活用した重大な開発が行われれば、イーサリアム・クラシックの価格が高騰することが期待できます。
また直近には韓国ソウルで「ETHEREUM CLASSIC SUMMIT」が開催される予定となっており、その場で何か重大発表があればETCの価格が上昇すると考えられます。
イーサリアム・クラシック(ETC)のまとめ&要点チェック!
- イーサリアム・クラシックはイーサリアムからハードフォークして誕生した仮想通貨
The DAO事件というイーサリアムが不正流出して事件の対処を巡ってイーサリアムの運営と対立した人たちがイーサリアム・クラシックを開発した - イーサリアムとイーサリアム・クラシックの違いはThe DAO事件がブロックチェーンに存在しているかしていないか
他には開発目的やセキュリティー、通貨の発行上限枚数といった違いがある